会社は、労働基準法に定める帳簿を備えておかなければなりません。
法定三帳簿と呼ばれ、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等の3つの帳簿を指します。
各帳簿には記入しなければならない事項や保存期間があります。
今回は各帳簿について以下のポイントに絞ってお伝えしていきます。
- 帳簿の保存期間
- 帳簿の管理方法
- 各帳簿の記入ポイント
各帳簿の保存期間
保存期間は5年です (※ただし当分の間は3年となっています。)
2021年4月より労働基準法の一部が改正され未払賃金が請求できる期間などが延長されました。その関連で書類の保存期間についても見直しが行われました。
各帳簿は破棄せずきちんと保管しておくことが望ましいでしょう。
帳簿の管理方法について
アナログ的な紙による管理、パソコンでデータ化してデジタル管理する方法が挙げられます。デジタル管理する場合開示を求められた際にすぐに開示できる状態であることが求められます。
必要な情報を網羅されていれば様式は問われません。
厚生労働省のホームページに労働基準法関係主要様式が公開されています。
- 参考リンク: 労働基準法関係主要様式 – 厚生労働省
各帳簿の記入ポイント
1.労働者名簿について
事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日々雇い入れられる者を除く)について調製する必要があります。事業場の規模・法人・個人事業に関わらず、パート・アルバイト等雇用形態を問わず、全ての労働者について作成・整備します。(日々雇い入れられる者は除く。)
保存期間の起算日は、労働者の死亡、退職または解雇の日です。
労働者名簿に記入する事項
- 氏名
- 生年月日
- 履歴(入社前の職歴や最終学歴また、社内での配置転換等)
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類(従業員30人未満は不要)
- 雇入の年月日
- 退職の年月日およびその事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)
- 死亡の年月日およびその原因
記入すべき事項に変更があった場合は、遅滞なく訂正しなければなりません。
常に労働者情報は最新のものであるように努めることが必要です。
2. 賃金台帳
使用者は、事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項および賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければなりません。
事業場の規模・法人・個人事業に関わらず、パート、アルバイト、日々雇い入れられる者等雇用形態を問わず、全ての労働者について作成・整備します。
保存期間の起算日は、原則として最後に記入した日です。
※賃金の支払期日が、最後の記入をした日または記録が完結した日より遅い場合には、支払期日が起算日とされます。
賃金台帳に記入する事項
- 氏名
- 性別
- 賃金の計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働時間数、深夜労働時間数、 休日労働時間数
- 基本給や手当等の種類と種類ごとにその額
- 控除項目と額
3.出勤簿等
労働時間を記録する書類のことで、賃金台帳に記載すべき労働時間数等の基礎となる資料です。
使用者は、1日何時間働いたかを把握するのではなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を使用者が確認・記録し、これを基に何時間働いたかを把握・確定を適切に管理する責務があります。
保存期間の起算日は最後に記載された日になります。
出勤簿に記入する事項
- 労働日ごとの始業・終業時刻
- 労働日ごとの労働時間数、休憩時間数
- 時間外労働・休日労働・深夜労働を行った日付と時刻・時間数
自己申告による労働時間の把握については、あいまいな労働時間管理となりがちであるため、やむを得ず、自己申告制により労働時間数を把握する場合に講ずべき措置についてはガイドラインに示されています。
参考リンク: 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)
各帳簿には作成や保管の義務違反に該当すると罰則を課されるおそれもあります。
帳簿の保存期間が延びた今だからこそ記録の仕方や保管方法など見直しのいい機会だと思います。
労働者の適正な管理のためにも法定三帳簿の作成や保存について見直してみましょう。